(レポート:豊橋技術科学大学TUT FORMULA 友田 元貴さん)
トヨタ名古屋自動車大学校にてダンパー講習会(実技編)が催されました。株式会社アネブルの蘓武様を講師にお招きし、ダンパー特性の計測体験、ドライビングシミュレータ体験、MIRAI試乗を行ってまいりました。今回はダンパー特性の計測体験についてレポートさせていただきます。
ダンパー特性の計測には蘓武様が持ち込まれたサービスカーを使用させていただきました。このサービスカーはバンをベースに改造した車両で、内部にはダンパーの減衰力計測器、整備工具等が備えてあり、ダンパー特性の計測と分解整備が可能です。さっそく私たちが持ち込んだダンパーの計測を始めますが、ダンパーオイルの温度に注意しなければなりません。初めに大きな減衰力が発生するセッティングで計測を行ってしまうとオイル温度が上昇し、その後の計測に影響が出てしまいます。そこで、減衰力の小さいセッティングから計測を始めるように蘓武様からアドバイスを頂きました。
順次、減衰力を調整するつまみ(ボルト)を回しながら、繰り返し計測を行っていきますが、ここで少し問題発生。減衰力調整用ボルトを1回転回すとかなり大きく減衰力が変わってしまうため、欲しい減衰力付近を細かく計測できないのです。1回転を何分割しようかと悩んでいたところ、6分の1回転ずつ回すようにアドバイスを頂きました。なぜ6分の1回転なのかというと、ボルトの頭が6角形なので目安にしやすいからです。この6分の1回転をレースの現場では1フラットと呼ぶそうです。
無事ダンパー計測を終え、計測結果を頂いて本日の講習は終了となりました。計測結果を見てみると、メーカーの公表値とかなり異なっていました。計測環境の誤差も考えられますが、蘓武様によれば日本の代理店を通さずに海外メーカーからダンパーを直接購入すると、内部セッティングが指定したものと異なっている場合があるそうです。
間違ったデータを正しいと信じて車両のセットアップを進めると、セッティングの泥沼にはまってしまう可能性があります。自分たちの手で1度計測して確かめることの大切さを実感しました。