(レポート:東京都市大学 中山 智貴さん)
7月2日に続き、エコパ(小笠山総合運動公園・静岡県)にて中部支部学生自動車研究会及びFM関東主催の試走会「走行技術トレーニング」が開催されました。当日は梅雨時の貴重な好天に恵まれ、関東・中部の10チームが集まりました。
・車検~走行前の準備
朝の全体ミーティングの終了後、大会車検員の皆様のご協力による簡易車検を実施し、マシンの安全確認が行われました。またチームによっては、より細かいチェックやレギュレーションについての質疑応答を行う様子も見受けられました。
周回コース走行前のピットを見回すと、いくつかのチームが「簡易定盤」を用いたアライメント・セッティングを行っていました。マシンの特性を把握し、最適なセッティングに向けた調整を繰り返します。
・走行トレーニングの様子
当日の走行メニューは、午前・午後ともに大会でのオートクロス・エンデュランスを模擬した周回コースでの走行でした。
・故きを温ねて新しきを知る
もうすぐ夏本番を迎え、気温の上昇とともに上がっていくエンジン水温は毎年の悩みの種であります。そんな中で、金沢工業大学の特徴的な冷却システムのレイアウトは、今年度のマシン中でも特に目立つ存在となるでしょう。
マシンのリアセクション後端部にラジエターを2つ配置する構造は、かつてのF1コンストラクター、ブリティッシュ・レーシング・モータース(BRM)の1972年のマシン、BRM・P180を彷彿させます。設計担当者の方に話を聞くと、「今年度の冷却設計にあたり、冷却風のヌケなどの改善が必要でした。せっかくなら他のチームがやっていない形で“カッコいい”レイアウトにしようと思い、昔のレーシングカーを見たりして、このレイアウトに至りました」とのこと。先人から学び、新しいデザインを創り出す、まさに「温故知新」の好例と言えますね。
ただ、当初はラジエター前面のインレット側にもダクトを付けていたものの、無い方がよく冷える傾向にあるとのこと。大会までに更なる改善を加えて、“熱い”夏を乗り切って欲しいですね。
BRM・P180のyoutube動画へのリンクはこちら
(https://www.youtube.com/watch?v=NbSZCKaP1Ps)
(https://www.youtube.com/watch?v=NbSZCKaP1Ps)
・中国からの留学生
コース脇の観戦エリアを歩いていると、中国の国旗がプリントされたチームシャツを着た男性がいました。不思議に思い話を聞くと、彼は中国・同済大学(Tongji University)のチームメンバーで、名古屋大学での一カ月間の短期留学プログラムで日本に滞在しているとのこと。その滞在期間、課外活動として名古屋大学のチームに帯同し、多くのことを学んでいるそうです。同済大学といえば、日本大会には第6回大会(2008年)から毎年参戦しており、昨年の第13回大会(2015年)では総合13位。今年の第14回大会にもエントリーしています。
同済大学に限らず、今年の日本大会には海外からは31チームもエントリーしています。世界中で活動が展開されている学生フォーミュラが、海や国境を超えた友情を築くきっかけになれば素晴らしいですね! 言葉や文化が違っていても、クルマやものづくりにかける情熱・パッションは同じなのですから、きっと通じ合えるはずです!
午後6時に走行トレーニングを終了し、最後に記念撮影を行い当日のメニューは全て完了。運営にご協力頂いた関係者の皆様、誠に有難うございました。
今年も7月に入り、いよいよ夏本番を迎え、各チームが本格的なテスト走行に乗り出しています。走行中にトラブルが起きたチームも見られましたが、早めに問題を解決しておきたいですね。9月の大会を最高の状態で迎えられることを期待しています!
夏の訪れを感じさせられた、エコパでの試走会の様子をお届けしました!