関東学生フォーミュラ連盟 早稲田大学 上入佐 慶太
2018年11月10日に早稲田大学(東京、新宿区)にて開催された技術交流会での、企業からの特別公演についてご紹介させて頂きます。
例年、技術交流会では、学生からの発表・ディスカッションのみならず、企業よりアドバイザーをお招きし、特別公演を頂いております。本年は川崎重工業株式会社様及び株式会社ケーヒン様から、学生フォーミュラの吸気系部品にフォーカスした内容の特別公演を頂きましたのでご紹介させて頂きます。
(動画でもご覧いただけます)
川崎重工業・本田様(車検委員)による「F-SAE車両規則特
ケーヒン・三浦様による「学生フォーミュラにおける燃調=”良
まず、川崎重工業株式会社様からは市販二輪車用エンジンに学生フォーミュラの吸気系部品を装着した際に起こる現象を実験結果とともにご講演を頂きました。
「低回転でのアイドリングが困難である」、「低速からスムーズにトルクが出ない」などの症状がある車両が大会では多く見られたため、リストリクター上部にスロットルがあるという学生フォーミュラ特有の吸気レイアウトにより、排気ガスの一部がエンジン筒内に残留する、「内部EGR(Exhaust gas recirculation)」が増加している可能性がありました。
川崎重工業株式会社様は二輪車用エンジンに学生フォーミュラのレギュレーションに沿った吸気系部品を取り付け、比較用の部品と交換しながら実験を行いました。エンジンが吸入したガスの組成を分析したところ、特に減速時に、酸素濃度の低下が見られました。また、これはバルブタイミングを変更することで、抑えられるという結果も得られました。
他にも、バルブタイミングを変更する上でのアドバイスや、エンジン部品の開発に有効な燃焼解析についてもご講演を頂きました。
この度、川崎重工業株式会社様からのご厚意により、技術交流会でご発表頂きました内容の資料を頂きましたので、下記リンクより公開させて頂きます。
是非チーム内でご確認の上、ご活用頂けますと幸いです。
株式会社ケーヒン様からは、基礎的なエンジンの理想燃焼状態についてのご解説から、実際にエンジンマップを作成する方法についての実践的な内容のご講演を頂きました。
エンジンにとってどのような燃焼状態が望ましいのか、吸気系部品が変更されると吸入空気がどのように変わり、どのようにエンジンマップを変更しなければならないのか。技術交流会では、エンジン担当以外の学生も参加していましたので、基礎的な内容からとても分かりやすくご講演を頂きました。
後半では、実際に量産車のエンジンマップを作成する際の手順をご紹介頂き、更にそれを学生フォーミュラに置き換えた際の手順もご紹介頂きました。
株式会社ケーヒン様には、毎年FM関東(自動車技術会関東支部後援)にて、燃調講座(春:基礎編、秋:応用編)を開催して頂いております。講座では、実際のアンケートをもとに参加大学の学生フォーミュラ車両を例に取り上げて頂き、各チームの疑問点を解決して頂いております。今後も開催する予定ですので、是非ご参加をご検討頂けますと幸いです。
最後に、本技術交流会での企業からの特別公演の内容(抜粋)を動画にて下記URLに公開させて頂きました。是非、チーム内にご周知頂き、ご活用頂けますと幸いです。
また、本技術交流会の開催にあたり、特別公演を快く引き受けて下さった川崎重工業株式会社の皆様、株式会社ケーヒンの皆様、ご参加頂いたアドバイザーの皆様、FM関東・関東学生フォーミュラ連盟の運営にお手伝いを頂いた皆様に感謝申し上げます。