人とくるまのテクノロジー展2022YOKOHAMAにおいて自動車技術会のブースでは、人材育成の一環として主催している学生フォーミュラ日本大会で使用される周回コースと車両をモデルにした「学生フォーミュラシミュレーター」の体験展示をいたしました。
学生フォーミュラは大学生や専門学校生がチームを組んで小型のレーシングカーを設計・製作し、毎年夏に行われる同大会でその速さや設計の創意工夫など、ものづくりの総合力を争う競技会です。しかしながら昨今のコロナ禍によって活動の制限を受けるなどして、各チームと車両が一堂に会する大会を2年連続で開催できないでいました。
そのような状況の中で実車での走行ができなくても車両の開発が行えることや、ドライバーの習熟ができることを目的として、自動車技術会と東京農工大学の学生フォーミュラOBが共同で開発を進めたのが、今回展示したシミュレーターです。
本シミュレーターでは、大会で実際に使用されるパイロンで形作られたコースを走れるだけでなく、車両がパイロンに当たってしまった際の独特の感覚を忠実に再現しています。車両には中止となった2020年度大会に出走するために製作途中であった東京農工大学 TUAT Formulaのガソリンエンジン車両”NK16″、さらにもし電気自動車であったら?というコンセプトのもと駆動源をモーターに変更した”NK16E”の2台を用意し、体験時に選択していただきました。
本ブースには展示会初日よりたくさんの方々に足を運んでいただき、またシミュレーターも体験していただきました。体験においてはレーシングカー特有の目線の低さやハンドルの重さ、不慣れなパイロンコースなどに四苦八苦しながら運転していただき、その大変さだけでなく面白さも味わっていただけました。体験を通じて学生フォーミュラという活動を様々な方に知っていただきました。
また多くのフィードバックもいただきました。事業としてシミュレーターを開発している方、メーカーで設計を行っていた方などからたくさんの意見を頂戴し、今後のシミュレーター開発やその活用方法について様々な視点から考えることができました。
さらには展示会のニュースを見て駆けつけてくださった一般の方もいらっしゃいました。学生のエネルギッシュな活動によって社会を明るく照らしてほしいといった前向きなコメントをいただきました。
本ブースへお越しくださった方々、また体験していただいた方々ありがとうございました。
本シミュレーターは市販のPCゲームへの追加コンテンツという形で導入できるようインターネット上で無償で公開しております。ご興味を持たれましたら是非ご自宅でも体験してみてください。
東京農工大学大学院 寺原 彬弘
(P.S.)昨年度まで開発に尽力してくれた本同 直人氏に心より感謝致します。(公益社団法人自動車技術会)