講習会・勉強会

2019年3月28日(木)-29日(金)自動車開発・製作セミナー 「走行実習編」於マツダ美祢自動車試験場の様子

2019年3月28日(木)-29日(金)、学生フォーミュラ大会に参加する学生を対象に自動車開発・製作セミナー「走行実習編」於マツダ美祢自動車試験場 (技術中核人材育成委員会企画)が開催されました。
本セミナーは、自動車技術会が発行している『自動車開発・製作ガイド』の「第17章 運転技能と安全運転」、及び「第18章 車両運動性能の測定およびパラメータ変化時の影響確認」を拠り所に、実際に車を使った実習を通じ、運転操作とマナーに関する基本的な知識を学び、ドライビングの基本を習得することを狙いとしています。

講座の内容は こちら をご覧ください。今回は地元のチームを中心に、9チーム18名の受講生が集まりました。講師にはマツダ様のプロフェッショナルドライバーの皆様をお招きし、開発に関わるドライバーとしてのノウハウを指導していただきます。

まずは例年通り、開講式とオリエン(座学)から始まります。短い時間にはなってしまいましたが、意のままにクルマを操る、「JINBAITTAI(人馬一体)」をポリシーとする「人間を中心としたクルマづくり」について講義をいただき、運転に対する車両の設計思想、特に「予測」・「操作」・「反応」のフローを繰り返すことが、人間中心の車両設計につながる貴重なお話をしていただきました。学校の講義や先輩からはなかなか聞けない内容になったのではないでしょうか。

座学の後はお待ちかねの運転技能訓練になります。グループに分かれて実車を用いてのマンツーマン講習です。
初日は基本となるフリーフラット路を使っての「オーバル走行」や「8の字走行」の実習訓練です。

使用車両はまずはもちろんロードスター(現行)!天気も快晴で絶好の運転訓練日和でした。各テスト車にはデータロガー(DigSpice)が装備されており、摩擦円を用いたデータ解析とiPadで可視化したG解析で、それぞれの運転のクセやうまくいかなかったポイントを講師の皆様から走行データを示しながら指導いただきます。

もちろん、学生フォーミュラ車両と市販実車では様々な操作やポジションが異なるため、フォーミュラ車両との違いも細かく補足していただきながら、車両挙動についてのドライバー・エンジニアとしての目線も教えていただきました。自家用車やカートなどで多少は運転の訓練の経験はある方もいますが、参加者の皆様も過半数は運転訓練は未経験だったようで、1日中運転と解析、試行錯誤をしているうちに貴重なヒントを掴めてきたのではないでしょうか。

ちなみに摩擦円の解析はこんな感じ(上画像)。いかにタイヤの摩擦力をうまく使えているかがポイントになります。2日間に渡る合宿形式のため、チームや講師の皆様と交流を深めながらあっという間に2日目となります。初日の指導を踏まえつつ、ジムカーナとサーキットコースでのライン取り・ブレーキングがこの日のメニューとなります。

RX-8を使用してのコース訓練は、プロドライバーも訓練をするテクニカルなコースですので難易度は高いですが、講師の方の同乗指導をいただきながら安全に配慮しつつ訓練を行いました。データロガーでのフィードバックを実施しながら初日との違い、よりデリケートな指摘もされながら、ただの運転技能訓練だけで終わらせないよう、車両開発のステージとなる「データから開発車両へのフィードバック」についても指導いただきました。

セミナーの締めには、今年もマツダ様のご厚意で、チャージ・マツダで有名な名車マツダ787B 202号を囲んでの記念撮影です。(車両のお触りはNGで見るだけですよ!)

【参加者のコメント】
このセミナーを通じて学生フォーミュラのドライバーとしてだけでなく「エンジニアとして」もたくさんのことを学ぶことができました。セミナーの一日目は主に講義・オーバルトラック走行が二日目はジムカーナ走行・定常円旋回走行・サーキット走行が行われ、今まで知らなかった運転に関する解析や、様々な指摘をいただけました。
また、一日目の夜はホテルにて懇親会が開かれ、インストラクターの方や他の大学のメンバーと意見交換をすることができました。自分は初参加で不安もありましたが、基礎からの丁寧な説明と同乗走行時の的確な指導のおかげでドライビング技術の向上、エンジニアとしての開発視点がより実感できました。指摘された改善すべき点を少しでも多く克服できるよう、日々の練習と車両製作に励みたいと思います。最大限に安全に配慮された環境下で車の挙動やタイヤの限界を知ることができる機会は貴重で、とても良い経験ができました。来年以降も是非、後輩に参加させたいです!
(鳥取大学フォーミュラプロジェクト 本勝 淳大)